難病特集:加齢黄斑変性
加齢黄斑変性に対する漢方医学漢方薬の効果と経験症例
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‖概念定義
加齢黄斑変性は滲出型と萎縮型に分けられる。滲出型は黄斑部の網膜色素上皮細胞-ブルッフ膜-脈絡膜の変化により発生する脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization: CNV)の発生と増殖を本態とする疾患である。CNVは網膜色素上皮下、ついで網膜下に発育する。病像はCNVからの滲出と出血による網膜剥離、網膜浮腫、網膜色素上皮剥離、網膜下網膜色素上皮下出血などを呈し、 それらが吸収した後には円板状の萎縮瘢痕が形成され、永続する高度の視力低下を生じ、進行が速いのが特徴である。萎縮型は黄斑部に網膜色素上皮-脈絡毛細血管板の地図状萎縮病巣が形成され、そのために視細胞の喪失が高度となりうるが、進行は緩慢であり、視力低下の程度も滲出型と比べ軽度である。
‖疫学
欧米の研究結果
人口あたりの頻度:チェサピークベイ(米国)の住人を対象にした場合、50歳以上の1.8%が加齢黄斑変性であり、米国の人口に 換算すると75歳以上では640,000人が加齢黄斑変性であると推定されている。ビーバーダム(米国)の住人を対象にした場合、人口の1.6%、75歳 以上の7.1%、ロッテルダム(オランダ)の55歳以上の住人の1.7%、85歳以上の11%、ブルーマウンテン(オーストラリア)の49歳以上の住民の 1.9%、85歳以上の18.5%が加齢黄斑変性に罹患していると報告されている。滲出型と非滲出型の比はいずれの研究でも2:1である。性比は 1.9:1.6(ビーバーダム)、1.9:1.4(ロッテルダム)、2.4:1.9(ブルーマウンテン)と女性に多い。しかし、これらのスタディでは年齢 をマッチさせて比べると性差は有意ではない。
我が国における調査結果
1998年に九州久山町の50歳以上の住民を対象におこなわれた調査では少なくとも1眼に滲出型を有する人は0.67%、萎縮型 を有する人は0.2%であり、人口に換算すると滲出型は約35万人、萎縮型は10万人になる。男女比は3:1で男性に多い。5年発症率は滲出型0.6%、 萎縮型0.3%と報告されている。同じ久山町の2007年の調査では、有病率は1.3%に上昇し、滲出型1.2%、萎縮型0.1%であり、滲出型の増加が著しいことがわかった。2000~2002年に舟形町に住む35歳以上の住民を対象にした検討では、加齢黄斑変性は0.5%に見られたと報告された。加齢黄斑変性は、滲出型は特に視力予後不良であり、社会的失明の主要疾患として来るべき高齢化社会の問題点になると予測されているので、以下滲出型に ついて述べる。
‖病因
網膜色素上皮細胞は視細胞の外節の貪食機能を始め神経網膜の環境を保持する上で重要な役割を果たしているが、加齢性の変化として、消化残渣物としてのリポフスチンの蓄積や網膜色素上皮細胞の脂質化が起こる。また、加齢とともに網膜色素上皮下に起炎物質を含むドルーゼンの形成やブルッフ膜の肥厚が起こり、視細胞-網膜 色素上皮-ブルッフ膜間の生理的環境に変化が生じる。最近ではこれらの過程に、遺伝子多型が関与しており、環境要因も関係があると考えられるようになった。遺伝子としてはcomplement factor HやARM2/HTRA1の変異が報告されている。環境要因としては喫煙、日光暴露との関係があり、特に日本人では喫煙との深い関係が疫学的に証明されている。こうした変化によっておこった慢性炎症や虚血が脈絡膜からの新生血管の原因になると考えられており、脈絡膜新生血管choroidal neovascularization(CNV)の発生発育に最も大きな作用を及ぼす生理活性物質として、 血管内皮増殖因子vascular endothelial growth factor(VEGF)があげられる。CNVはブルッフ膜の破損部から網膜色素上皮下、網膜下へと進展し、滲出、出血などをおこして感覚網膜に障害を及ぼす。
‖症状
中心暗点、変視症、進行すれば非可逆的かつ高度な視力低下。
‖分類と診断基準
厚生労働省網膜脈絡膜視神経萎縮調査研究班の加齢黄斑変性診断基準作成ワーキンググループから、2008年に以下の分類と診断基準が作成されている(日本眼科学会雑誌112巻12号、1076-1084頁、2008年)。
<分類>
前駆病変 : 軟性ドルーゼン、網膜色素上皮異常
加齢黄斑変性 : 滲出型加齢黄斑変性、萎縮型加齢黄斑変性
滲出型加齢黄斑変性の特殊型 : ポリープ状脈絡膜血管症、網膜血管腫状増殖
診断基準
年齢50歳以上の症例において、中心窩を中心とする直径6000μm以内の領域に以下の病変がみられる。
1.前駆病変
軟性ドルーゼン(*1)、網膜色素上皮異常(*2)が前駆病変として重要である。
2.滲出型加齢黄斑変性
主要所見:以下の主要所見の少なくとも一つを満たすものを確診例とする。
(1)脈絡膜新生血管(*3)
(2)漿液性網膜色素上皮剥離(*4)
(3)出血性網膜色素上皮剥離(*5)
(4)線維性瘢痕
随伴所見:以下の所見を伴うことが多い。
(1)滲出性変化:網膜下灰白色斑(網膜下フィブリン)、硬性白斑、網膜浮腫、漿液性網膜剥離
(2)網膜または網膜下出血
3.萎縮型加齢黄斑変性
脈絡膜血管が透見できる網膜色素上皮の境界鮮明な地図状萎縮(*6)を伴う。
4.除外規定
近視、炎症性疾患、変性疾患、外傷などによる病変を除外する。
(付記)
*1 軟性ドルーゼンは直径63μm以上のものが1個以上見られれば有意とする。
*2 網膜色素上皮異常とは網膜色素上皮の色素脱失、色素沈着、色素むら、小型の漿液性網膜色素上皮剥離(直径1乳頭未満)をさす。
*3 脈絡膜新生血管は、検眼鏡所見、蛍光眼底造影によって診断する。検眼鏡所見として、網膜下に灰白色または橙赤色隆起病巣を認める。蛍光眼底造影はフ ルオレセイン蛍光眼底造影またはインドシアニングリーン蛍光眼底造影所見に基づく。
*4 漿液性網膜色素上皮剥離は、直径1乳頭径以上のもので、脈絡膜新生血管を伴わないものも含める。
*5 出血性網膜色素上皮剥離は大きさを問わない。
*6 網膜色素上皮の地図状萎縮は大きさを問わない。
検査所見の解説
蛍光眼底造影所見
1)フルオレセイン蛍光眼底造影所見
以下のようなタイプのCNVが描出される。
(a)classic CNV
CNVの明瞭に描出されるもので、蛍光造影早期(脈絡膜造影期)より網目様の境界明瞭な血管組織として造影される。造影後期には著しい血管外蛍光漏出を示す。
(b)occult CNV
CNVの蛍光造影像が不明瞭な場合である。網膜色素上皮下にあるために造影早期のCNV像が不明瞭であり、後期に網膜色素上皮の組織染あるいは色素上皮下腔への色素貯留を示す(線維血管性網膜色素上皮剥離)。あるいは造影中期から後期において点状に拡大する多数の点状顆粒状過蛍光を呈する(late leakage of undertermined source)の2種がある。
2)インドシアニングリーン蛍光眼底造影所見
多量の出血や網膜色素上皮剥離を伴ったり、フルオレセイン蛍光造影で検出困難なoccult CNVにおいて、CNVが過蛍光領域として検出される率が高い。また造影早期に脈絡膜血管から新生血管網への蛍光色素流入を確認することによってCNVの栄養血管の検出が可能である。
3)光干渉断層計optical coherence tomography(OCT)
CNVが網膜色素上皮の上にあると網膜色素上皮-脈絡毛細血管板を示す高反射層の上に高輝度を示す一塊の反射がみられる。網膜色素上皮下にCNVがある場合には、色素上皮を示す高反射層が不規則に隆起し、その深部のブルッフ膜と合わせて2層の高い反射さみられるサイン(double layer sign)を示したり、内部反射を伴うドーム状隆起を示す。本検査ではCNVによっておこった黄斑部の組織の異常を断面で見ることができ、CNVの検出とともに網膜色素上皮剥離、網膜剥離、網膜浮腫の検出に優れている。また、CNVと中心窩の位置関係を知るのにも有用である。
フルオレセイン蛍光造影、インドシアニングリーン蛍光造影、OCT所見を総合して、CNVの活動性、大きさ、中心窩との位置関係を明らかにする。 CNVが中心窩にある場合には、OCTによって網膜色素上皮の上か下かを判断し、網膜剥離、網膜色素上皮剥離、黄斑浮腫の状態を見て、治療法を検討する。
‖特殊型
1)ポリープ状脈絡膜血管症(polypoidal choroidal vasculopathy:PCV)
網膜色素上皮下に異常な血管網があり、その先端が拡張してポリープ状になり網膜下に向かって突出している特異な病変がみられる。診断にはIAが有用であり、特徴的なポリープ状病巣が検出される。ポリープ状病巣は眼底検査では橙赤色隆起病巣としてみられ、充実性である。ポリープ状病巣は特徴的な形態から漿液性あるいは出血性網膜色素上皮剥離と区別できるので、細隙灯顕微鏡による詳細な眼底検査を行うことが大切である。しかし大量の網膜色素上皮下出血や硝子体出血、網膜色素上皮剥離を生じている場合には判 断が難しい。日本人では、この病型はフルオレセイン蛍光眼底造影によってOccult CNVのパターンを示すことが多く、滲出型加齢黄斑変性の40~50%を占めるとされている。典型加齢黄斑変性に比較すると視力予後は良好であるが、大きな網膜下、網膜色素上皮下出血を生ずることもある。2005年に、日本PCV研究会から以下のような診断基準が提唱された。
確実例 : 以下のいずれかの1項目を満たすものとする
眼底検査で橙赤色隆起病巣をみとめる
インドシアニングリーン蛍光造影で、特徴的なポリープ状病巣*をみとめる
不確実例 : 以下のいずれかの1項目を満たすものとする
インドシアニングリーン蛍光造影で異常血管網**のみをみとめる
再発性の出血性漿液製網膜色素上皮剥離をみとめる
*ポリープ状病巣は、インドシアニングリーン蛍光造影で瘤状あるいはぶどうの房状の病巣である。早期には過蛍光を示し、造影時間の経過とともに大きくなり、ある時点から形、大きさは変わらない。早期には、内部に数個の粒状過蛍光を認めることがある。後期に輪状の過蛍光を認めることがある。
**異常血管網は、インドシアニングリーン蛍光造影早期に分枝した脈絡膜内層の血管として造影され、血管の走行、口径から正常の脈絡膜血管と区別できる。異常血管網の範囲は後期に面状の過蛍光を示すことが多い。
参考所見:OCT所見
ある程度大きいポリープ状病巣は、前方に向かって突出する網膜色素上皮の高反射ラインの隆起として観察され、以下の特徴がある。
突出の程度がより急峻である。
隆起の内部に漿液性網膜色素上皮剥離と比べて中等度の反射がみられる。
表面が凹凸不整である。
2)網膜血管腫状増殖(retinal angiomatous proliferation: RAP)
網膜血管に由来する新生血管(網膜内新生血管)が網膜下に向かって発育し(網膜下新生血管)、やがてCNVと吻合する。近年では網膜内新生血管の見られる時期にすでに脈絡膜新生血管が潜んでいる場合もあることが明らかになった。このタイプは、黄斑部に集合性に多数の軟性ドルーゼンを認める高齢者に好発し、進行が早く、難治である。進行に従い、強い嚢胞様黄斑浮腫や、網膜出血、網膜剥離や網膜色素上皮剥離を生じる。診断は、網膜血管に連なる網膜内網膜下新生血管を蛍光眼底造影、とくにインドシアニングリーン蛍光眼底造影で検出する。診断は進行期には容易であるが、初期には難しいことがある。診断基準はまだ出来ていない。
‖鑑別診断
1)中心性漿液性脈絡網膜症
高齢者では頻度は高くないが、通常中年期にみられる中心性漿液性脈絡網膜症の症例が存在する。加齢黄斑変性のCNV由来の滲出性網膜剥離と鑑別するために蛍光眼底造影を行う。フルオレセイ ン蛍光眼底造影では早期に点状の過蛍光ではじまる色素漏出、インドシアニングリーン蛍光眼底造影で造影後期に異常脈絡膜組織染を示す脈絡膜血管の透過性亢進がみられる場合には中心性漿液性脈絡網膜症と診断する。
2)網膜細動脈瘤
網膜細動脈瘤が破裂して黄斑部に血腫を形成した場合、滲出型加齢黄斑変性との鑑別が難しいことがある。しばしば網膜前出血を伴うことが特徴であるが、出血が多いとフルオレセイン蛍光眼底造影では網膜細動脈瘤が検出できないことがある。その場合にはインドシアニングリーン蛍光眼底造影が有用である。
3)網膜静脈黄斑分枝閉塞症
黄斑に分布する細い網膜静脈が閉塞すると、黄斑に出血や滲出が起こり、滲出型加齢黄斑変性と鑑別を要する。静脈閉塞では出血は網膜内であり、古くなると閉塞網膜静脈の白線化、毛細血管瘤など網膜血管の異常がみとめられる。フルオレセイン蛍光眼底造影では閉塞領域の網膜静脈の異常や血管透過性亢進がみられるので診断できる。
4)各種の血管新生黄斑症
加齢黄斑変性以外でも黄斑部に脈絡膜新生血管が発育することがあり、総称して血管新生黄斑症という。加齢黄斑変性と鑑別が必要な50歳以上にみられる主な血管新生黄斑症には、強度近視に伴うものと網膜色素線条症に伴うものとがある。特徴的な眼底所見から鑑別が可能である。
‖治療
加齢黄斑変性の治療については、厚生労働省網膜脈絡膜視神経萎縮調査研究班の加齢黄斑変性治療指針作成ワーキンググループから、下記のような「加齢黄斑変性の治療指針」が作成されている(日本眼科学会雑誌116巻12号1150-1155、2012年)。
治療指針アルゴリズム付記
*1:特に中心窩外CNVのことを指す。傍中心窩CNVに対しては、治療者
自身の判断で中心窩を含むCNVに準じて治療を適宜選択する。
*2:視力0.5以下の症例では、PDTを含む治療法(PDT単独またはPDT-
抗VEGF薬併用療法)が推奨 される。視力0.6以上の症例では
抗VEGF薬単独療法を考慮する。
*3: 治療回数の少ないPDT-抗VEGF療法が主として推奨される。
視力良好眼では抗VEGF薬単独療法も考慮してよい。
中心窩を含まないCNV
1)レーザー光凝固
中心窩外のCNVについてはマルチカラーレーザーなどを用いてレーザー光凝固を行う。光凝固の効果については米国の大規模な治療研究結果では、蛍光眼底造影で確認できたCNVの全領域を強めに凝固するという方法が有効であると報告されている。中心窩外のCNVについては、本邦でも最も良く行われている治療である。治療によりCNVの瘢痕化を促進し、出血、滲出の吸収を促進する。
2)CNV抜去術
網膜色素上皮の上に発育した傍中心窩CNVに対しては、外科的にCNVを抜去する手術の選択肢もあるが、最近はほとんど行われていない。傍中心窩CNVは、光凝固では遺残、再発の可能性が高く、 CNVが中心窩に達すると視力低下を生じること、atrophic creep(レーザー瘢痕の拡大)が生じ、中心窩に及ぶと視力が低下すること、CNVが閉塞した場合でも光凝固部に一致して絶対暗点が生じるなどの問題がある。CNVの抜去によって出血、滲出が早期に吸収し、中心窩の機能が保たれれば視力の維持・改善が得られる可能性があるが、侵襲の高さ、手術効果の予測がつきにくいことから行われなくなった。上記の理由から、治療指針では、傍中心窩CNVに対しては、治療者自身の判断で中心窩を含むCNVに準じて治療を適宜選択することとされている。
中心窩下CNV
各種治療が試みられてきたが、現在の第一選択は抗血管内皮増殖因子薬(抗VEGF薬)の硝子体内投与(抗VEGF療法)である。わが国の治療指針では、網膜下、網膜色素上皮下にCNVを持つ典型AMDに対しては、病変タイプにかかわらず、初回治療として抗VEGF薬の投与が推奨されている。また視力0.6以上の視力良好なPCVやRAPに対しても抗VEGF薬単独療法が推奨されている。しかし、その効果や副作用については長期にわたり定期的な観察と治療が必要である。なお、視力不良なPCVやRAPに対しては抗VEGF薬をPDTと組み合わせて行う併用療法が推奨されている。
1)抗VEGF薬
ラニビズマブ
2009年、わが国においてラニビズマブ(Ranibizumab、ルセンティス®)0.5mgが承認、販売された。ラニビズマブはVEGF-Aの全てのアイソフォームを阻害できる抗VEGF中和抗体のFab断片であり、マウス由来のヒト化モノクロナール抗体である。ラニビズマブの分子量は 48kDであり、しかも同じ中和抗体の全長の製剤ベバシズマブのアミノ酸配列を一部変更してあるため、硝子体内投与によって網膜内に浸透しやすく、VEGFへの親和性は ベバシズマブより強力になっている。海外で行われたminimally classic CNVとoccult CNVを対象にした臨床研究では、0.3mgと0.5mgの4週毎の硝子体内投与によって3か月後視力は改善し、12か月後0.3mgで6.5文字、 0.5mgで7.2文字、24か月後それぞれ5.4文字、6.6文字の視力の改善が維持された(数字はそれぞれETDRS視力による)。また、Predominantly classic CNVを対象にして同様の方法で行われた臨床研究でも3か月後視力は改善し、12か月後0.3mgで8.5文字、0.5mgで11.3文字、24ヵ月後それぞれ8.1文字と10.7文字の改善が維持されている(5文字は小数視力表の約1段に相当)。わが国の同様の臨床試験では、0.5mg毎月投与開始6か月後 9.0文字、12か月後10.5文字の改善が得られ、必要時投与に切り替えた24か月後においても視力改善が維持された。硝子体内投与の際の眼内炎の発症は1/1200~1/2000程度とされている。わが国の臨床試験 に際しては、眼内炎の発症はなく、一過性の高眼圧が認められる程度で、重篤な有害事象は報告されていない。中心窩CNVに対して、これほどの視力改善が得られる治療法はこれまでなく、治療の第一選択として最も多く用いられてきた。しかしラニビズマブは全てのVEGFを阻害するため、生理的VEGF-Aの作用を阻害する可能性がある。一過性脳虚血発作、脳梗塞の既往がある場合にはそれらが再発しやすくなる可能性があり、riskとbenefitを考えて投与を決める必要がある(慎重投与)。改善された視力を維持し、なるべく安全に使用するために、一般臨床ではラニビズマブは、投与開始時には連続3か月間、月1回、計3回の投与を行い、その後は1か月に1回、視力や眼底検査、OCTを行い、必要であれば再投与を行う方法がとられている(ラニビズマブ再投与ガイドライン:日本眼科学会雑誌113巻1098-1103頁、2009年)。
ペガプタニブナトリウム
ペガプタニブナトリウム(Pegaptanib sodium, マクジェン®)は、わが国では2008年眼科で初めて承認、発売された抗VEGF薬である。VEGF165分子に対するアプタマーである。 アプタマーとは標的蛋白質と特異的に結合する核酸分子であり、ペガプタニブナトリウムの場合にはVEGF165が標的蛋白であり、VEGF165が抗体と結合するのを阻害する。欧米で行われた検討では6週毎の0.3mg、計9回の硝子体内投与によって54週後15文字未満の視力低下は70%であり、未治療群に比較して有意に良好であることが示された。この成績は欧米におけるPDTの成績とほぼ同じである。わが国において0.3mgを用いて同様の方法で行われた臨床試験では、54週後15文字未満の視力低下は79%であった。本剤の欠点はVEGF121など他のVEGF-Aの活性を阻害できないため、抗血管新生作用が弱いことである。しかし、アプタマーであるので免疫性がなく、安全性が高い。抗VEGF療法は、CNVの活性を抑えるための導入期と、抑えたまま維持するための維持期において、複数回の抗VEGF薬投与が必要である。薬物の特性を考えるとペガプタニブナトリウムは維持療法に適している。また病変サイズが小さな初期例に対する治療効果が期待できる。
アフリベルセプト
アフリベルセプト(Aflibercept, VEGF-Trap Eye、アイリーア®)は2012年11月に承認されたばかりの最も新しい抗VEGF薬である。アフリベルセプトはVEGF受容体の一部をIgGのFc部分と融合させた分子量115,000の受容体融合蛋白で、VEGF-AのほかVEGF-B, PlGF(胎盤増殖因子)のブロックを行うため、ラニビズマブの100倍の結合力を持つとされる。ラニビズマブと比べて分子量が大きいため、眼内滞留時間が長いという特徴を持つ。2457例で行われた本剤の国際共同治験の結果、アフリベルセプト2mg4週ごと、0.5mg4週ごと、2mg8週ごとの投与は52週後においてラニビズマブ0.5mg4週ごと投与と比較して非劣性であったことが証明され、視力維持率も95%前後で全群に有意差がなかったとの結果であった。また、3か月に1回投与を基本とする2年目の投与によって、96週においても視力維持率は91~92%であった。ETDRS視力の改善は1年目8~10文字、2年目5~9文字であった。この結果から、本剤は2mgを導入期に1か月ごとに3回連続で投与し、維持期においては2か月ごとに1回計画的投与を行うことが標準的使用方法として承認がおりた。日本人における本剤の多数例の効果の実証は今後の課題であるが、1か月ごとの経過観察と必要時投与が基本であったラニビズマブと比べて、維持期に2か月ごとの受診により、負担軽減が期待されている。なお、治験の段階では、副作用の種類と頻度はラニビズマブとほぼ同等であった。
2)光線力学的療法 photodynamic therapy(PDT)
Ⅰ)PDTの原理
PDTの第1段階では、肘静脈から光感受性物質(6mg/m2体表面積)のベルテポルフィンを10分かけて静注する。ベルテポルフィンは血中でLDLレセプターに結合する。CNVの血管内皮細胞には多数のLDLレセプターがあるため、ベルテポルフィンはCNVの内皮細胞に高率に取り込まれる。治療の第2段階として、最も高率に取り込まれた静注開始後15分に、CNVに689nmの弱度レーザー光を照射する。その結果、CNV中のベルテポルフィンに光化学反応が起こり、発生した一重項酸素によって傷害された血管内皮細胞に血小板等が付着し、血栓形成によってCNVが閉塞する。
Ⅱ)PDTの適応
わが国の眼科PDT研究会の検討では、日本人ではFA所見や病変サイズ、PCVの有無にかかわらず、視力0.5以下の滲出型加齢黄斑変性にはPDTの適応があるとされている。視力0.6以上の視力が良好な例では1年後に視力が低下するので良い適応にならない。視力が0.1未満の場合には視力は保たれるが1年後0.1以上の視力がでることは難しいので他眼の状態、年齢などを考慮して施行を決める。PDTの良い適応は、病変が小さい(≦1800μm)場合、病型がPCVである場合である。一方、PEDの中にCNVが存在する場合には治療成績が悪く、病変が大きい場合や、CNVあるいはPCVの栄養血管が太い場合には大出血を起こしやすいので、インフォームドコンセントをしっかり行う必要がある。
Ⅲ)PDT後の視力
PDTは欧米では未治療に比較して視力低下が軽減でき、2年後、3年後、5年後もその視力は保たれると報告されている。わが国では1年後、2年後とも PDT前の視力が保たれると報告されており、欧米に比較して治療成績が良い。日本人で治療成績が良い理由のひとつは、PDTが奏功するPCVの比率が高いためと考えられる。PCVではPDT1年後の平均視力はPDT前に比較して改善することが証明されており、PDTに対する反応性が良好である。これは出血や滲出の原因になるポリープ状病巣がPDTによって容易に閉塞して退縮するためである。しかし、異常血管網は閉塞せず、2年後の経過をみると、拡大した異常血管網の末端にポリープ状病巣が再発したり、網膜下にCNV が生じることも多い。ただし、それらの病変は中心窩外に起こることが多いため、適切に対応すればPDT前視力は保たれることが多い。このようなPCVに対するPDTの奏功性を踏まえて、我が国の治療指針では、PCVに対しては視力0.5以下の症例にはPDTを含む治療法(PDT単独療法またはPDT-抗VEGF薬併用療法が推奨されている。また、典型AMDの難治例や網膜血管腫状増殖に対しては、PDTと抗VEGF薬の併用療法が用いられる。
中心窩を含む大きな硝子体出血網膜下出血
中心窩を含む網膜下血腫硝子体出血に対する網膜下血腫移動術硝子体手術
中心窩を含んで大量の網膜下出血をおこした場合、出血が新鮮な時期には硝子体内への膨張性ガス注入による血腫移動術や硝子体手術による血腫除去術の適応になる。さらに硝子体出血を来した場合には硝子体手術の適応となることがある。
サプリメントほか予防的治療
5000人規模で5年間にわたって行われた米国の大規模前向き試験(AREDS)において、高用量の抗酸化ビタミンと亜鉛からなるサプリメント は、視力が20/30以上で加齢性黄斑変性前段階の所見(広範囲の中型、大型のドルーゼン:我が国の診断基準の前駆病変)を有する人、あるいは対側眼がすでに進行期の加齢黄斑変性である人では、滲出型加齢黄斑変性への進行を遅延させるのに有用であったと報告された。ルテインは黄斑色素の構成要素であり、青色光から網膜を保護する作用がある。米国では現在ルテイン、ゼアキサンチン、ω-3脂肪酸の有用性を調べる臨床研究(AREDS2)が行われている。これを受け、わが国の治療指針においても、加齢黄斑変性の前駆病変と萎縮型加齢黄斑変性に対して、ライフスタイル(禁煙、血圧管理、定期的運動)と食生活の改善、AREDSに基づくサプリメント摂取が推奨治療として取り入れられている。
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最終編
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北海道地方:北海道(札幌)
東北地方:青森県 岩手県(盛岡) 宮城県(仙台) 秋田県 山形県 福島県
関東地方:茨城県(水戸) 栃木県(宇都宮) 群馬県(前橋) 埼玉県(大宮) 千葉県 神奈川県(横浜)
中部地方:新潟県 富山県 石川県(金沢) 福井県 山梨県(甲府) 長野県 岐阜県 静岡県 愛知県(名古屋市)
近畿地方:三重県(津) 滋賀県(大津) 京都府 大阪府 兵庫県(神戸) 奈良県 和歌山県
中国地方:鳥取県 島根県(松江) 岡山県 広島県 山口県
四国地方:徳島県 香川県(高松) 愛媛県(松山) 高知県
九州地方:福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県
横浜市 大阪市 名古屋市 神戸市 京都市 福岡市 川崎市 さいたま市 広島市 仙台市 北九州市 千葉市 世田谷区 堺市 新潟市 浜松市 熊本市 相模原市 練馬区 静岡市 岡山市 大田区 足立区 江戸川区 船橋市 鹿児島市 八王子市 川口市 杉並区 姫路市 板橋区 松山市 宇都宮市 東大阪市 松戸市 西宮市 倉敷市 市川市 大分市 金沢市 福山市 江東区 尼崎市 長崎市 葛飾区 町田市 富山市 豊田市 高松市 横須賀市 岐阜市 藤沢市 枚方市 柏市 宮崎市 豊中市 長野市 豊中市 一宮市 岡崎市 高崎市 和歌山市 奈良市 品川区 高槻市 吹田市 旭川市 高知市 川越市 いわき市 所沢市 前橋市 郡山市 大津氏 北区 越谷市 新宿区 秋田市 那覇市 中野区 四日市市 春日井市 久留米市 青森市 盛岡市 福島市 明石市 津市 豊島区 長岡市 下関市 市原市 函館市 茨城市 水戸市 目黒区 八尾市加古川市 福井市 徳島市 佐世保市 平塚市 府中市 山形市 富士市 墨田区 草加市 松本市 呉市 寝屋川市 佐賀市 八戸市 春日部市 茅ヶ崎市 大和市 宝塚市 厚木市 上尾市 調布市 太田市 つくば市松江市 伊勢崎市 文京区 港区 渋谷区 荒川区 上越市 熊谷市 沼津市 鈴鹿市 岸和田市 甲府市 小田原市 鳥取市 山口市 西東京市 伊丹市 日立市
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