一　概略

　　卵巣早衰（POF）とは、初潮月経年齢が正常か、思春期が遅く、第二生育の正常な40歳前の女性に、閉経と性器官萎縮があり、卵泡刺激素（FSH）黄体成素（LH）が高くなり、女性ホルモンが低くなるという総合的な症状がみられる。閉経やほてり、汗が出る等の症状が併発する。卵巣早衰（POF）は、卵巣合成性激素功能が低下あるいは合成できないことにより、丘脳垂体軸のフィードバックにより、性腺激素が高くなり、女性ホルモンが低くなる状態。一般女性の発病率は、1%～3%、閉経女性の2%～10%を占めている。

 

二　漢方法（弁証論治）

大きく例として４タイプに分類されていますが、実際は患者の症状はさまざまで簡単に分類できないので、ベテラン漢方医師の判断による個人ごとに調整した処方が必要になります。漢方は副作用の少ないものですが、個人にぴったり合わせた薬でないと長期間服用した際には体に歪みが生じてしまいます。

1     腎陰虚型

【症状】継発閉経あるいは月経遅れ量少、だんだんと閉経に至る、めまい、足腰が疲れ易い、赤ら顔、ほてって汗が出る、いらいらして眠れない、憂鬱、元気がない、おりものが少ないあるいは無い、膣が乾渋、性交困難、手足が熱い、舌質紅乾燥、苔薄く黄白乾燥、脈細弦数

　　【治法】滋腎柔肝、育陽潜陽　等

　　【方薬】例　：当帰、熟地黄、亀甲、紫河車、莵糸子　等

2     腎陽虚型

【症状】継発閉経あるいは月経後期の量少、だんだんと閉経に至る、膣道乾渋、性交痛、元気がない、冷え性、大便が下痢気味、食欲不振、顔色が青白い、舌質むくみ気味、苔薄白、脈細弱　等

【治法】温補腎陽、調補冲任

【方薬】例　：熟地黄、亀甲、紫河車、莵糸子　肉桂、等

3     陰陽两虚型

【症状】継発閉経、月経遅れ量少、だんだんと閉経に至る、膣道乾渋、性交痛、時にほてって汗が出る、いらいらして不安、食欲不振、足腰の痛み、疲れ易い、舌苔薄、脈沉細　等

【治法】調補陰陽、理経賛妊　等

【方薬】例　：熟地黄、山茱萸、紫河車、莵糸子、柴石英　等

4     肝郁腎虚型

【症状】継発閉経、めまい、腰の痛み、顔が赤い、ほてって汗が出る、眠れない、呼吸が苦しい感じがする、憂鬱、頻繁に溜息が出る、疲れ易い、乳房萎縮、おりもの少ない、膣道乾渋、性交痛、舌淡紅、少苔、脈細

【治法】滋陰養血、解郁宁神

【方薬】例　：炒柴胡、牡丹皮、熟地黄、山茱萸、紫河車、莵糸子、等