未破裂卵胞黄素化総合症
一 概略
未破裂卵胞黄素化総合症(LUF)は、卵胞成熟して破裂しないで、卵胞排出せず、そこで黄素化し黄体になり、プロゲステロンを分泌する。体に排卵周期と似ている変化がある。一見、月経周期が規則的にみえるが、実際は生理中に卵胞が破裂しないで排卵せず、臨床症状があまりない。ある報告より、排卵促進剤クロミッドを使用した患者さんの中に、LUF発生率約30%。これは排卵促進薬を使用すると、排卵率は高いが、妊娠率は低い。
二 臨床症状
大半が臨床症状はない。LUF患者の月経周期と正常の女性の月経周期は似ている。BBTも双相型である。但し、排卵と卵胞の超音波測定の時に、初めて気がつく。または腹腔鏡検査の時に発見される。
三 検査診断
1
超音波による卵胞発育の連続測定
2
腹腔の検査
3
組織学検査
4
腹腔液中プロゲステロンの測定
四 西洋医学の予防
1
HCG10000U~15000U筋肉注射
2
①(女性ホルモンまたは、GNRH-A)+HMG
②(クロミッド、またはHMG)+HCG
3
非甾体解熱鎮痛薬などはLUFを誘発することがあるので、使用は控える
4
子宮内膜症、腹腔中炎症および癒着もLUFを引き起こすので、先にする
5 クロミッド+超音波で、直接卵胞を破裂させる
五 漢方(弁証論治)
大きく例として5タイプに分類されていますが、実際は患者の症状はさまざまで簡単に分類できないので、ベテラン漢方医師の判断による個人ごとに調整した処方が必要になります。漢方は副作用の少ないものですが、個人にぴったり合わせた薬でないと長期間服用した際には体に歪みが生じてしまいます。
1
腎気虚症型
【症状】婚久不妊、測BBT均呈双相型、黄体期正常または比較的短期、B超監測提示未破裂卵胞黄体化、月経周期尚正常、色暗、足腰が疲れやすい、元気がない、めまい、耳鳴り、小便清長、舌淡、苔薄、脈細
【治法】補腎益気、温養冲任
【方薬】例 :人参、茯苓、熟地黄、莵糸子、巴戟天、戟 等
2
腎陽虚症型
【症状】婚久不妊、測BBT均呈双相型、黄体期正常または比較的短期、B超監測提示未破裂卵胞黄体化、経色淡暗、性欲低下、小腹の冷え、おりもの量多、水のように薄い、めまい、耳鳴り、足腰が疲れやすい、夜尿多、くまがある、顔がくすんでいる、舌質淡暗、苔白、脈沉細 等
【治法】滋腎養血、調補沖任
【方薬】例 :白芍、山茱萸、、莵糸子、牡丹皮、肉桂 等
3
腎陰虚症型
【症状】婚久不妊、測BBT均呈双相型、黄体期正常または比較的短期、B超監測提示未破裂卵胞黄体化、経色鮮紅、月経期長い、痩せ形、めまい、耳鳴り、足腰が疲れやすい、ほてり、不眠多夢、眼花心悸、肌の乾燥、性交痛、舌質赤っぽい、苔少、脈細
【治法】滋腎養血、調補沖任
【方薬】例 :山茱萸、鰵甲、莵糸子、牡丹皮 等
4
肝郁
【症状】婚久不妊、測BBT均呈双相型、黄体期正常または比較的短期、B超監測提示未破裂卵胞黄体化、経量時に多く時に少ない、月経時服痛あり、あるいは月経前イライラする、胸脇乳房脹って痛い、憂鬱、善太息、舌暗紅あるいは舌の周りに斑点ある、脈弦細 等
【治法】疏肝解郁、理血調冲
【方薬】例 :白芍、白術、牡丹皮、川楝子、王不留行 等
5
血瘀
【症状】婚久不妊、測BBT均呈双相型、黄体期正常または比較的短期、B超監測提示未破裂卵胞黄体化、月経時服痛あり、経量多少不一、経色紫暗、血塊あり、塊がでれば減痛、性交痛、舌質紫暗あるいは、舌の周りに斑点有り、苔薄白、脈弦細 等
【治法】遂瘀蕩胞、調冲助妊
【方薬】例 :紅花、赤芍、延胡索、極売、香附 等