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難病特集:偽性副甲状腺機能低下症
       


偽性副甲状腺機能低下症に対する漢方医学漢方薬の効果と経験症例
関連病気:



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■概念定義


副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone: PTH)分泌は保たれているにもかかわらず、標的臓器のPTHに対する先天的不応性により、低カルシウム血症や高リン血症などの副甲状腺機能低下状態を呈する疾患の総称である。本症は、外因性のPTH負荷に対し尿中cyclic AMP及びリン酸排泄促進反応両者に障害が認められるⅠ型と、cAMP排泄増加反応は保たれているものの尿中リン酸排泄促進反応が障害されているⅡ型の2 つの型に大別される。このうちⅠ型はさらに、PTH受容体からアデニル酸シクラーゼに情報を伝達するGs蛋白活性の低下を認めるⅠa型、アデニル酸シクラーゼ のcatalytic unitの異常が想定されるⅠc型と、これらに異常を認めないⅠb型に細分される。


■疫学


過半数の症例は10歳前後までに発見される。家族性がしばしば認められ、女性にやや多い。1998年の全国集計では203例の本症患者が報告され、これより全国の患者数は約430例と推計されている。その大部分はⅠ型で、Ⅰ型の約半数がⅠa型である。Ⅱ型と報告された患者の中には、その後他の疾患と判定されたものが多く、Ⅱ型の存在自体にも疑問が残されている。


■病因


Ⅰ型ではPTH受容体からアデニル酸シクラーゼ系の間に異常が存在するのに対し、Ⅱ型ではcAMP産生以降の細胞内情報伝達系に問題があるものと想定されている。Ⅰa型では、家系により多様なGsαサブユニット遺伝子(GNAS)の変異が報告されている。Ⅰb型では、PTH受容体の異常が想定されてきた。しかし、患者の血球や線維芽細胞などを用いた検討では、PTH受容体遺伝子変異は認められていない。さらにPTH受容体の機能喪失型変異は、Blomstrand lethal chondrodysplasiaという全く異なる致死性の疾患を引き起こす事が明らかにされた。従ってⅠb型の病因はPTH受容体遺伝子変異ではなく、 現状ではGNASのゲノムインプリンティングの異常と考えられている。Ⅰc型は、当初の報告例以外には、ごく少数例しか症例は確認されていない。Ⅱ型の病因は、不明である。


■症状


症状の大部分は低カルシウム血症に基づくものである。神経筋の興奮性亢進によるものとして、全身痙攣、てんかん、テタニー発作、感覚異常などのほか、Chvostek徴候、Trousseau徴候などを認める。その他にも精神神経系の機能異常として精神不穏状態、不安、抑うつ、知能発育遅延、認知障害などがみられる。また皮膚は乾燥し、湿疹などを伴う場合もある。循環器症状としては、心電図でのQTc延長のほか、心不全、低血圧などをきたす場合がある。これらのほか、白内障や、歯牙発育障害、大脳基底核石灰化がしばしばみられる。

偽性副甲状腺機能低下症のうちⅠa型では、Albright骨異栄養症による円形顔貌、短躯、第4中手骨中足骨の短縮や皮下骨腫(osteoma cutis)、肥満などを認める。また、Ⅰa型と同様のAlbright骨異栄養症を示すが、腎のPTH反応性は障害されておらず血中カルシウムやリン濃度に異常を認めない状態も存在し、偽性偽性副甲状腺機能低下症と呼ばれている。偽性偽性副甲状腺機能低下症もGNASの変異で生じ、両者の違いは変異遺伝子が両親のどちらに由来するかにより決定される。変異GNASが母親に由来する場合は偽性副甲状腺機能低下症Ⅰa型となり、父親に由来する場合は偽性偽性副甲状腺機能低下症となる。


■治療


テタニー発作や全身痙攣など、低カルシウム血症に伴う重篤な急性期症状に対しては、カルシウム製剤の経静脈的投与を行う。急速な血清カルシウム濃度の変化により心機能異常をきたし得るので、心電図をモニターしつつ緩徐に投与する。長期的には、活性型ビタミンD3製剤による血中カルシウム濃度の維持が治療の目標となる。偽性副甲状腺機能低下症では、ほぼ生理量の活性型ビタミンD3製剤の投与により、高カルシウム尿症をきたすことなく血中カルシウム濃度の正常化が期待できる。血清カルシウム濃度が8.5~9.0mg/dlで、しかも早朝空腹時の尿中カルシウム/クレアチニン比を0.3を超えない範囲に維持することを目標にして、維持投与量を決定する。カルシウム製剤の補充は、尿中血中カルシウムの変動を高め管理を困難とするため、原則として行わない。
またGs蛋白は、副甲状腺のみならず他のホルモンの情報伝達にも介在している。このためしばしば甲状腺機能低下症などを合併することがあり、これらに対する補充療法が必要となる場合がある。


■予後


低カルシウム血症に伴う重篤な急性期症状の治療が奏効し、活性型ビタミンD3製剤による維持治療により治療目標が達成されれば、予後は良好である。




















    

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